風が描ければ漫画の魅力倍増！風の表現の仕方と心理描写にも

風は目に見えないものです

線で描かれることが多いですが

ただ線を描いたというだけでは風が吹いている感じを表現できません

風が吹くことで、長い髪がなびいたりします

髪がなびくことで、見えない風が表現されます

ゆえに、なびく髪の描き方はよく解説されていますね

こうした風が吹くことで起こる影響を描くことで、風を表現します

また、キャラクターの心理を表現するときにも、風を使うことがあります

人の心理は、目に見えないものです

かといって「このキャラクターはこのときこう感じた」なんて文字でイチイチ説明するのは

陳腐で面白みがありません

なので漫画はそのキャラクターの心理状態を読み手に想像させるよう

絵で表現していきます

風の描写は、その表現法の一つです

というわけで、このページでは、

といったことを書いていきます

【STEP1】軌道を考えて風を描いてみよう

風を表現するには、まず軌道を考えましょう

どの風が吹いてきているかを想定することで

風に吹かれている物がどう影響するかを想像しやすくなります

軌道は風の吹く方向に線や矢印を描きますが

それだけでなく風を球体ととらえて飛んできていると想定しましょう

球体ととらえることで、より風に吹かれた物の影響を想像しやすくなります

下の画像のようなカーテンがあったとします

片方窓が開いていて、そこから風の球体が飛んでくるイメージを描きます

球体がぶつかってきたことで、カーテンが翻ります

ただ風が吹いてきたと考えるよりは球体が通ってきたと考えた方が

カーテンがどう翻るか想像しやすいかと思います

【STEP2】風で表現できる漫画の心理描写や状況描写

文字で表現する小説と違い、漫画は絵（静止画）で表現されます

キャラクターの心理状態も、背景描写により表されることもあります

もちろん、文字での説明が入ることもありますが

やはり絵で表現するのが漫画の表現として面白みがあると言えます

ガランとた状況表現

心理表現というより状況の描写となりますが

たとえばシャッター街やゴーストタウンと化した街とか

人気がまったくなく建物もボロボロでなんとも寂しげです

こういった状況のもの悲しさを表現するのに、風を使ったすることもよくあります

この場合の風は強風ではなく、少し緩めの風が一度吹くような感じで

枯葉を一枚吹かせるとより雰囲気が出ます

穏やかな風

暑いときに風に吹かれて涼しくなると、なんとも穏やかな感じになることでしょう

これもどちらかというと状況表現に近いですが、穏やかな感じも現れます

窓から涼しい風が吹いてきているのかもしれませんし

クーラーに当たっているのかもしれません

また今回のテーマは”風”ですが

このブログは主に背景の描き方について書いているということで

トーンによって穏やかさを表現していることにも注目してみてください

ちなみに、扇風機だと風がちょっと強めに

戦いの前触れか！？

戦いの前というのは、ものすごい緊張感が出てきます

戦闘に赴くキャラクターたちは、さきほどの穏やかさと違って

引き締まった気持ちでいることでしょう

なので、緩い風でなく強風で状況が表されます

緊張する場面ともあって

描き文字もシャープで大きめに描かれていることも着目しましょう

季節の表現

心理表現ではありませんが

状況表現ということで、風によって季節を表すこともあります

枯葉を吹かせることで、秋が表現されます

これを桜にすることで、春となります

ほかにも強風により、もの悲しさを表現することもあるそうなのですが

「悲しい雰囲気なら風よりも雨かなぁ」と思ったのではぶきました

素材の違いによる風の表現

さきほどのカーテンはヒラヒラで軽い素材なので

風に吹かれることで翻りました

ただ、中には重い素材の物も当然あります

そうなると、風に吹かれてもカーテンのように高く翻ることはないでしょう

このように、物の素材の違いによって

風に吹かれる影響の違いを描き分ける必要があります

軽い素材の服なら、

風が吹かれることで、大きく翻ります

重い素材の上着だと、

あまり翻りません

【STEP4】煙の描き方と風による煙の影響

煙も風の影響を受けやすい物です

風が吹いているときと、吹いていないときで煙の見え方はもちろん変わります

単純に風が吹くことで、煙が横に流れることは想像できるかと思います

が、それだけでなく、煙そのものの見え方の違いも出てくるのです

また工場などの煙突から出る煙と

焚火から出る煙の風の影響にも若干違いがあったりします

煙突の場合

まず、煙突・焚火関係なく煙の描き方について

煙の描画法は、雲の描き方に似ています

雲の詳しい描き方については、以下のページに掲載されています

煙もまた、丸いモコモコしたものがいくつも集合したものととらえて、描いていきます

雲との違いは

煙は吹き出し口から近い下の方ほど色が濃くて輪郭線もはっきりしており

上にあがるほど色が薄く輪郭線もぼやけて丸い集合体もおぼろげになっていきます

なので、上の方ほど影の付き方が丸っぽくなく

あいまいな付き方となります

そして、上昇した煙はやがて消えます

風が吹くと煙は横に流れるのですが

吹き出し口近くの煙は勢いよく速く上昇しているので

あまり風の影響を受けず横に流れません

上に行けば行くほど煙の上昇する速さは遅くなるので

上の方は風の影響で横に流れます

また風に吹かれることで

丸の集合体は風に吹かれていないときより、さらに薄くおぼろげになります

吹き出し口近くの煙が横に流れているということは

それだけ強風であることを表しています

焚火の場合

焚火の煙も、やはりまず丸の集合体で描いていきます

上の方ほど色は薄く、輪郭線がおぼろげになり、消えていきます

煙突と違って、焚火は吹き出し口がないので

下の方でも風の影響を受けやすいです

風が吹いてくることで、下の方から影響して横に流れます

それにやはり、風に吹かれると丸の集合体はおぼろげになります

今回の煙の描画法も

「物理表現のイラスト描画」を参考にしたものです

煙の出来る原理については、この本に描かれています

この本はほかにも、爆発の原理と描き方についても描かれています

爆発などは漫画にもよく出てきますが

現実に目にすることはないので描くのにイメージしづらいかと思います

この本はいい参考になるのではないでしょうか

まとめ：見えない風の描画法のおさらい

風は目に見えないゆえに木の葉や服・髪の毛・煙・カーテンなど

別の物で風が吹いていることを表す必要があります

ということで、風の描き方について解説しました

まとめますと、

漫画において、心理描写を描く場面はいろいろ出てくるかと思います

その素材の一つである”風”の描き方を覚えると

作品の質がグッと上がるのではないでしょうか