
今回は、クリスタでトーンを使った背景描画の解説をしていきます
モノクロで漫画を描くのおいて、トーンはやはり外せないでしょう
クリスタで色を塗る際はエアブラシなどを使ったりしますが、トーンでも色を塗るように使えます
クリスタでトーンを貼る作業をするのはとても便利です
また、今回は描き方解説に入る前に、雲ができる原理についても解説します
原理を知ることも絵を描いていく上での糧となりますので、ぜひ覚えていきましょう

必須ではないけど、画力工場の糧となるよ
ちなみに雲・空の描き方は、「マンガでわかる キラとマリアの背景が描きたい!―自然編―」を参考
雲のできる原理については、「物理表現のイラスト描画」を参考にしております
というわけで、このページは、
といった内容です
【STEP0】「雲ってどうやってできるの?」その原理を学ぼう!

絵を描くのに原理を知る必要あるの?
原理を覚えることは絵を描くのに必要かというと、別に覚えなくても描けるというのが実際のところではあります
が、覚えることで糧となってきます
難しいポーズを描く場合、モデルとなる人を観察することで、よりリアルに描けます
しかし、漫画やアニメを描く場合、どうしても観察できないものもあります
物が爆発するシーンだったり、火事が起きるシーンだったり、川に大きな物が落ちて水柱がたったりなどなど
絵を描くには、想像力が大切です
物の仕組みを知ることで「こういう原理で起こることなのだからこうなってくるのでは?」と、絵を描く上で想像しやすくなり、いろんな表現ができてきます
いろんな表現ができるようになることで、自分の望んだ絵が描けるようになります
資料を見て、それをそのまま描くだけでは、自分の望む絵にならないこともあることでしょう
「物理表現のイラスト描画」には、今回の雲の原理のほか、
などなど、いろんな原理を解説したうえで、描き方を教えてくれます

火や煙の原理など、詳しく書いてあるよ
雲はどうやってできる?
水蒸気と湯気
雲の原理を知るには、まず湯気のできる仕組みを考えましょう
水の入ったヤカンが沸騰すると、湯気が出てきます
湯気の出ているヤカンの注ぎ口をよく見ますと、注ぎ口の辺りでは湯気は出ていません
この、注ぎ口から湯気が見える部分までの透明部分は「水蒸気」であり、気体です
水蒸気を構成する水分子は、人の目に見えないほど小さいです
一方湯気は、水分子同士がくっついて目に見える水滴(液体)になったものです


湯気って実は液体だったんだね
水分子の性質
水分子は、寒いとあまり動かなくなります
逆に暖かいと、活発に動き回ります

また、寒くてほかの水分子が近くにあった場合は、水分子同士がくっつきます
暖かい場合は、くっつかずに活発に動き続けます


寒いと水分子は、おしくらまんじゅうになるんだね
湯気ができる理由
が、暖かくても水分子が密集すると、くっついて水滴になります
湯気は注ぎ口に出た時点ではくっついていなかった水分子が、密集することでくっついて水滴となり、見えた状態です
湯気が広がっていくと、水分子の密度は下がり、また暖かいために水分子は離れて、見えなくなります

雲ができる理由
水蒸気というのは、空気中のどこにでも含まれています
上空はとても寒いので、水分子の動きは鈍く、くっついて固まったままの状態となります
これが「雲」です

でも、水蒸気が集まって水滴になっても、多少動き回って目に見えない水蒸気に戻る水分子もあります
「水蒸気が集まって雲になる量」と「雲が水蒸気に戻って見えなくなる量」のどちらが多いかにより、雲が発達するかどうかが決まってきます
海辺の辺りは、雲ができやすく、砂漠地帯は、雲ができにくいです

海辺と砂漠地帯の雲の差、おぼえておこう
【STEP1】雲は種類によってできる高さがある

大きさ・形の同じものが連続すると、人工的で自然的に見えません
並びが均一だと、なおのこと自然に見えなくなってしまいます

まず、雲は種類によってできる高さがあるということを知りましょう

雲ができる高さには、
があります
積雲・層積雲は低層にできますが、大きな積雲だと中層まで広がることもあります
中層には、ひつじ雲や雨雲ができます
上層には、巻雲(筋雲)ができます
積乱雲(入道雲)は、低層から上層にまである大きな雲で、下の方と上の方が横に伸びていて、平らです

種類によって、できる高さが違うんだね
【STEP2】積雲のようなモコモコ雲の描き方

雲というと、巻雲のような薄いものもありますが、やはり積雲のようなモコモコした形が定番です
まず、モコモコの雲を描いてみましょう
でも、その前にトーンで空を表します
ラスターレイヤーを使ったトーンの貼り方
素材パレットを開いて すべての素材/単色パターン/基本 の中から空の色となるトーンを選んでキャンバスにドラッグしましょう(”基本”の中にある網・万線・砂目からもトーンを選べます)


モコモコ雲の描き方
モコモコ雲は一つの塊としてとらえず、さまざまな大きさの丸いモコモコが、いくつもくっついている感じに描きましょう

内部の線の一部を消して、雲の形らしくしていきます

トーンで影をいれていくので、まず、ラスターレイヤーを追加しましょう

追加したラスターレイヤーの「表現色」を「グレー」に変更します

そしたら「効果」を「トーン」に変えましょう
これにより、ブラシやエアブラシで色を塗るようにトーンを入れることができます
トーンの線数や網の形の設定もできます

雲の影は、雲の下部に軽く入れる程度のこともありますが、立体的に影を入れたい場合に、丸いモコモコをくっつけて描く方法は便利です
丸一つ一つに影を入れていくことができます
線数60・網の設定「円」のトーンをブラシで入れてみました

その後、消しゴムを「軟らかめ」にして、影を薄く消して整えていきます


クリスタなら、トーン貼るのも楽♪
【STEP3】雲の描写いろいろ

漫画のシーンでは、キャラクターを描かずに空を主としたコマも出てくることもあるでしょう
空主体のコマは近景に積雲などをいくつかいれた上で、変化をつけるためにちぎれ雲も入れたり、遠近感を強調するため遠景に筋雲を入れたりしましょう
雲がどの方向に流れているかも、意識して描くといいです
雲の粗密の面積比は、1:1.5(1.5:1)を意識し、余白も考えて入れていきましょう
(雲は物体ではないということで、外線を消して描くこともあります)

空主体ではない、あくまでただの背景のコマのときは、雲を描くバランスに気を付けて軽く描くくらいでいいでしょう


数や集まり具合をよく考えて描こう
雲を使って躍動感のある絵を描く
キャラや建物だけでは単調すぎて見ごたえのない絵でも、雲を流れるように描くことで、躍動感を生み出すことができます


漫画はいろんな演出法があるから、勉強していこう
【STEP4】天気の違いや時間帯によっての空の描き分け

曇天の描き方
曇り空は、ただ暗いトーンを貼るだけにとどめず、ペンで線を引いていって雲を描いていきましょう
といっても、描くのは雲の下の陰の部分だけです
細かい斜め線をジグザグに入れていくことで、雲を描いていきましょう
一部ホワイトも入れていきます

雨を描く場合には
雨のシーンの、木々や建物といった背景は、シルエットのみで暗く描くことがあります
が、雨が背景にかぶって見えなくなってしまいます
なので、背景はホワイトの直線を入れていって雨を表現しましょう
パース定規を入れておくと、まっすぐな縦線が描けます

夕空を描く際のトーンの使い方
夕空の雲は、空の色より濃いトーンを雲に入れ、下部にホワイトを入れていきましょう

夜空を描く場合は?
夜空の月と星は、ホワイトで描きます
背景の木々や建物は、シルエットで黒く描きましょう
ビルなどの場合、明かりを描きましょう

以上「マンガでわかる キラとマリアの背景が描きたい!―自然編―」をもとにした、雲・空の描き方解説でした
このブログは、クリスタでの描き方解説ですが、「キラとマリアの背景が描きたい!」は主にアナログの描き方が載っています
アナログを描く機会のある人には便利でしょう
また、雲の種類による季節の描き分けの解説などもあります
ぜひ、自然描写の参考にしてみてください

わかりやすく解説されていて、助かります
【STEP5】薄い雲の描き方
筋雲は外枠がはっきりしないほど薄いので、「ぼかしツール」を使いましょう
まず、ブラシで白く筋雲の形を描いていきます

「色混ぜツール」から「ぼかしツール」を選びます

ぼかしを塗っていくことで、雲が薄くぼかされ、筋雲らしくなります


雲を描く以外にも使えそうだ
【STEP6】トーンのモアレなくweb用に原稿を出力するには?
ここで掲載されている画像にはトーンが使われているため、モアレが気になる人もいるかもしれません
web配信用の出力の仕方となりますが、モアレなく出力する方法があります
ファイル/画像を統合して書きだし から保存形式を選び

保存ウィンドウが表示されるので保存すると
書き出し設定ウィンドウが表示されるので
“カラー”の「色の詳細設定」をクリックします

その後”トーンの出力設定”の、「レイヤーに付与されたトーン効果を有効にする」のチェックを外して、”OK”をクリックしてから、原稿を書きだしましょう

すると、トーン部分が、

グレーに変わります


webで漫画を載せる際は、この書き出しで
ちなみに印刷用の漫画の描き方等は、このブログでは解説しておりませんので、申し訳ありませんがご了承ください
まとめ:トーンの使い方と雲・空の描き方のおさらい
このページでは、雲・空を描くということでクリスタでのトーンの使い方についても解説しました
まとめますと、
雲を描く割合などを誤ってしまうと、背景がいびつになる恐れがあります
また雲の描き方が単調すぎると、自然的に見えなくなってしまいます
天候や時間帯によって、空の描き方も変わってくるので、描き方を覚えると創作に役立つかと思います

創作は想像力が大切! 自然の原理も覚えていこう