
漫画は静止画でありながら、多彩な動きを表現します
人が走る描写でも、ただ走っているポーズを描くだけでは動きは感じられません
が「流線」を引くことで、人が走っている様を表現できます
さらに線を数を調整することで速く走っているのか、ゆっくりなのか
描き分けることもできます
加えて、勢いのある絵を描くのには「集中線」が使われます
これを使えば、凄まじい破壊力のあるパンチといったアクションや
何かに驚く人のその衝撃の度合いを演出できるのです
このように、漫画にとって「線」は欠かせない要素です

漫画において線は本当にだいじ!
しかし、手書きで線を引いていくのは、やはり大変な作業となります
クリスタには、その線を引くためにとても便利なツールが備わっています
というわけで今回の内容は、
といったことについて書いていきます
漫画を描いていくのは、とても時間がかかります
便利な機能を覚えることで、作業効率がグンと変わってくるでしょう
ぜひ、学んでいってください
【STEP1】流線ってどんな線?

静止画である漫画に、スピード感を表現するのが「流線」です
下の画像のように走るポーズを取らせただけでは
走っている感じがありません

流線を描くことで、速く走っている感じを表現します

勢い・迫力を強調したい場合は、画面端まで線を描きます

表情を見せたい場合は、画面端まで描かずに少し抑えめに

その両面を生かしたい場合は、端まで描く線と消える線を織り交ぜましょう


流線も描き方によって印象が変わってくよ
【STEP2】流線ツールの使い方を学ぼう

線の引き方
クリスタには、瞬時に流線を引ける機能が備わっています
まず”図形ツール”の”流線ツール”を選びましょう

ツールプロパティを確認して、”基準位置”は”始点”にしておきましょう
別に始点でなくても線は引けますが、これは後で解説します

キャンパスをクリックして、マウスを動かします
ドラッグしなくていいです

マウスを動かしたらまたクリック
次またクリック……していくと
線が引かれます(といっても、これは流線ではありません)

ある程度クリックしたら、Enterを押しましょう
すると、線から流線が出てきます
“始点”に設定したことで、クリックした線から右に流線が出るようになっています


一瞬で流線が引けちゃう!
ハンドルを動かしてみよう
“操作ツール”の”オブジェクトツール”を選んぶことで、

丸いハンドルを動かして、線の始点を変えることができます

赤い四角のハンドルを動かすと、流線の角度を変えられます

そして、赤い線から出ている線の先の丸を、

動かすことで、線の数が増減されます


線の数もあるていどだけど変えられるんだ
線の引かれる方向
基準位置を”終点”に変えますと、

始点の時とは逆に、左に線が引かれます

中点にすると、画面の両端まで線が引かれます

いろんな設定
間隔とまとまり
ツールプロパティにて、線と線の間隔も設定できます
ただ「まばら流線」で描いているので、一定の間隔で引かれません
間隔のほかにも”まとまり”という設定もあり
これにチェックが入っていると、その数値分のまとまりごとに分けて流線が引かれます

基準位置のずれ
設定によって、基準位置にズレを発生させて線を引くこともできます

入り抜き
この設定は、重要かもしれません
“入り抜き”をクリックすると”入り抜き影響設定”が表示されます
その”ブラシサイズ”にチェックを入れて、サイズを決めましょう

すると始点(入り)の線が細くなります

“入り”の数値を変えることで、線の細くなる範囲を変更することができます

抜きにチェックを入れると、線の奥が細くなります


入り抜きは使うこと多そうだなぁ
曲線化
“曲線化”にチェックを入れて、

赤い四角のハンドルを動かしますと、

動かした方向に、線が曲がります

さらに、赤い丸のハンドルを動かしますと、

このようにハンドルの形同様に、歪曲した線になります


曲がった線も描けちゃうよ
【STEP3】特殊定規を使って流線を引こう

“定規ツール”の”特殊定規”を選んで、ツールプロパティで”平行線”に変更しましょう

線を入れたい方向にドラッグします

すると、スナップの線が表示されますので、

ペンなどで線を引くと、スナップの方向に引かれます
これで流線を描いていきましょう

【STEP4】特殊定規で集中線を引く方法(復習)

これは、以前にも紹介した機能です
やはり”定規ツール”の”特殊定規”で、今度は”放射線”を選択します
そしたら、線を集中させたい箇所をクリックしましょう
スナップが表示されます

流線と同様に、ペンなどを使って線を引くと
スナップの方向に描けます


特殊定規も便利だから、覚えておこう
【STEP5】集中線ツールで線を引いてみよう

線の引き方
流線と同じく、集中線も瞬時に描けるツールが用意されています
“図形ツール”の”集中線”を選択しましょう

集中させたい部分をクリックしてドラッグしていき
線の引かれる範囲を決めますと

集中線が引かれます


これも一瞬で引けちゃうよ
線の間隔設定
「角度」と「距離」で線の間隔の設定ができます
“線の間隔(角度)”を1.0にすると、集中線はこんな感じ

0.5に変えると、間隔が狭まった分、濃い集中線となります

“線の間隔(距離)”1.0です

0.5だと、やはり濃い集中線となります

ハンドルを動かしてみよう
集中線ツールも、操作ツールのオブジェクトにより
ハンドルを操作できます

丸いハンドルを動かすことで、集中線の描かれる範囲を変更できます

赤い四角のハンドルを動かしますと、

集中線に回転がかかります


曲がった集中線もカンタンにできちゃうんだね
青丸のハンドルを動かすことで、

集中線の途切れる範囲が、広がります

今度はツールプロパティの”曲線化”のチェックを外してから、

赤い四角のハンドルを動かしますと、

回転はかからず、集中線の位置が変わります

【STEP6】集中線+迫力を出す演出法

激しい戦いのシーンなど迫力を出したいコマは
集中線を濃く入れていきましょう

ただ、これだけでは、まだ演出が足りないかと思われます
もう少し集中線を加えたうえで
パンチのスピード感を出す「ブレ線」と
汗のしぶきを彷彿とさせる「スパッタリング」も入れていきましょう


集中線だけのときとは、だいぶ違ってくるねぇ!
さらに線を濃くすると「ベタフラッシュ」となります

まとめ:漫画の演出に必須!クリスタの線引き法のおさらい
今回は、漫画の演出に欠かせない「流線」「集中線」を描くための、便利なツールを紹介しました
まとめますと、
漫画で動きや感情、迫力を表すのに、線は必須な要素です
それを描くツールを覚えておくのは、制作の効率が上がり
演出の幅も広がるかと思います

手描きで描いた方が、迫力ある線を引けたりするので、
線ツールだけでなく特殊定規の使い方も覚えておこう