
ファンタジーの冒険ものを描いたりすると
野宿で焚火をするシーンや、魔法などで炎を発するシーンもあったりするでしょう
バトル漫画だと、拳に火をまとって戦う主人公が出たりもしますね
また、炎はキャラクターの心情を表現する背景に使うこともあります
バトルものでなくても、炎を描けるようになることで漫画の魅力を上げることができます
しかし、火の揺らめきを描くのはなかなか難しいかと思われますので
コツを知っておくのがいいでしょう

自然物を描くのは、やっぱりむずかしい
ってことで、このページでは、
といったことについて書いていきます
今回も、原理や火の描き方は「物理表現のイラスト描画」を参考にしております
【STEP0】物が燃えていく原理について
まず熱源(火)を燃料(紙)に近づけていくと、

火を近づけたところから焦げていきます
“焦げ”は、熱によって紙の成分が変化した状態です
そして、煙が発せられます
この”煙”は、紙の成分が気体になったものです

火のついた部分から、さらに周囲が熱せられます
熱せられることで、気体が発生します
その気体にさらに引火し、火が広がっていき
さらに気体が発生されることで燃え広がっていきます
燃料(紙)がなくなるまで、これが続きます
火は、気体に引火します
台所ではガスコンロが使われていますが、ガスは気体です
紙が燃え尽きると、灰のみが残ってしまいます

紙以外にも、熱源を燃料に近づけることで燃料は気体に変化し

さらに気体が熱せられて燃料が引火します


ガスに火がつくように、気体に引火するんだね
ロウソクの場合
燃料であるロウに燃えやすい成分である「炭化水素」が含まれていて
熱して高温になることで酸素と結びついて引火します
ロウソクの芯は、熱せられて溶けたロウが浸み込むようになっています

火の燃料となるもの
薪
生木は地面に根を張って生きており、その地面から水分を吸っているので
生木を切って火をつけようとしてもなかなかつかずに白い煙がたくさん出てしまいます
薪にする場合は、枯れた木の枝や幹を手ごろな太さに切り分けます
ただ、薪は太くて硬いので、ただ熱源を近づけてもなかなか燃えません
なので、おがくずなど燃えやすい物にまず引火して、それで時間をかけて燃やします
なかなか引火しない分、太い薪は引火すれば長時間燃え続けます

木炭
薪より軽いです
木炭は、木を燃え上がらない程度の高温に長時間さらして、黒く変色させたものです
熱しても炎はほとんど上がらないので、料理によく使われます
熱源に利用する際は、じっくり高温にさらす必要があります
消火の際は、耐火容器に密閉するか、水をかけます
水をかけても、乾かすことで再利用できます
石炭・練炭
人の手で作られた木炭と違い、石炭は自然が生み出したものです
大昔の植物が土に埋もれて
何億年も圧力をかけられることで石のように変貌したのが石炭です
いうなれば、植物の化石といったところ
熱しても煙は出ませんが、木炭に比べて短時間ではなかなか高温になりにくく
また消えにくいです
練炭は、石炭の粉を練り固めたもので、木炭より火力は強いです
石炭の消化の仕方は木炭と同様ですが、再利用はできません

火の燃料も、いろいろあるんだなぁ
【STEP1】炎の描き方を覚えよう

空気の流れと炎の揺らめき
炎には揺らめきがあり、それが描くのに難しい要因となるかと思います
この揺らめきを描く際は、下絵を描く段階で
まず空気の流れを想定して矢印を引いてみましょう

波打つように上昇していく感じです
前もって空気の流れを描くことで炎がどう揺らくか、火の粉がどう舞っていくか
想像しやすくなるでしょう
炎の輪郭は、外側だけでなく、内側にも描いていきます
下絵ができたら、輪郭線を描いていきます
炎の内側の輪郭は、白で塗りつぶします

輪郭線が描けたら炎の中を「自動選択ツール」で選択して
内側の輪郭線の周囲にトーンのグラデーションを入れていきます

炎を目立たせたい場合は、さらに、空気の流れに沿った影を入れていきます

空気の流れを、風に吹かれたりすることで横に流したりすることで
動きのある炎を描くことができます

また、キャラクターの周りに、渦巻くような空気の流れを想定することで
炎のエフェクトが描けたりもします

トーンは、下は濃いめに、上は薄めのグラデーションすると
炎の臨場感が増します

空気の流れを考えておくことで、いろんなバリエーションの炎が描けそう
焚火の炎について
焚火の下は、輪郭線を描かずに、薪から火が生えてきているように描きましょう

まあ、下の輪郭線を描いた普通の炎を
ただ焚火に乗せるだけでも特に違和感ないと思いますが
より、リアリティを追求するのであれば、ということで
輪郭線なしの炎
グラデーションのトーンを使うことで
輪郭線がなくても、炎を描くこともできます
ただ、臨場感のない炎になってしまうこともあるかもしれません
描いてみないとその点はわからないので
実際描いて、あまり炎らしさが出ないようなら
輪郭線を描いていくのがいいかと思います
もしくは、影を付け足したりしてみるのもいいかもしれません


火の描き方も、さまざま
【STEP2】背景に炎を入れて心情を表そう

ここからは下記のサイトの描画法を参考にしています
↓
キャラクターの背景に炎を描くことで、怒りや情熱といった心情を表現できます
この場合の炎は、本当に燃えているのでなく、あくまで心情の表現です
まず、白で炎の揺らめきを

それからグラデーションのトーンを入れていきます


燃えてるなぁ、オレ
【STEP3】火事を描く場合
火事など、あまり観察する機会などないことかと思います
そもそも、現実にはあまり起こってほしくないことですし
なので、描き方の想像がしづらいところもあるかもしれません
イメージとしては、家の中から上に向かって炎が吹き出てくる感じに線を引いていきます
吹き出ているので、真上でなく、斜め寄りの上に上昇していきます

線が引けたら、ところどころホワイトで消していきます


煙の描き方については、下記のページで解説しています
ちなみに「物理表現のイラスト描画」には
屋内の火事の炎の燃え上がり方や車の火災についてなども書かれています
火事の燃え広がる様まで描く機会もそうそうないかと思いますので
ここでは解説をはぶきましたが
「詳しく知る必要がある」という人がいれば参考にしてみてください


燃え広がり方に特徴があり、それについて詳しく書かれているよ
火炎放射の描き方について


ここでまた「物理表現のイラスト描画」を参考に、解説します
このブログは背景の描き方を主に解説しており
中でもファンタジー系を主体に書いています
が、「火炎放射器って背景ちゃうしファンタジーちゃうやん」と思われるかもしれません
ただ「火炎放射って、ドラゴンの炎に近いのかなぁ……」と思ったので
解説に入れてみました
まず火炎放射器の出がかりは
噴射口近くに丸い塊があるイメージで、炎がそれを覆っている感じです
(丸い球は実際あるのでなく、あくまで炎の塊のイメージです)


その塊が押し出されるように、吹き出していきます
吹き出し口の炎は細いですが、吹き出された炎の先端は大きく広がります
吹き出された炎から火の粉が上に飛び散って、消えていきます


さらに伸びていくごとに先端は広がりますが、重力により少し下に下がります


燃料が切れると吹き出し口の炎は途切れて
先端の炎は、上昇したり重力で下がった火の粉を飛び散らせながら消えていきます


アニメと違って漫画は静止画なので、ここまで細かく描くことはないでしょう
けれど、以前にも言っているように、原理を知ることで想像しやすくなります
ということで、頭に入れておくのもいいかと思われます
火の関連では「物理表現のイラスト描画」にはほかにも、
といったものの描き方についても掲載されています
戦争もの・バトルものを描く際の参考に役立つかと思われます


重火器を描く参考に、チェックしてみてくださいね
まとめ:焚火・火事・放射器などいろんな火の描き方のおさらい
今回は、火の原理と描き方についての解説でした
バトルものや心理描写、日常的なおはなしでも、火を描く機会はあるかと思います
まとめますと、
STEP1「炎の描き方を覚えよう」で解説した空気の流れを想定することで
炎の臨場感がだいぶ変わってくるかと思います
忘れず頭に入れておきましょう


焚火や放射器などの炎を描く際は、飛び散る火の粉も忘れずに