
感動できるストーリー・泣けるストーリーは、とても魅力的ですね
感動する話には、母親との別れだったり、仲間の死だったり、
別れがあったりするものです
が、もちろんそれだけではないですし
ただ別れを描けば「感動」とはいきません
人を泣かせるコツが必要です
と、いうわけで今回は
などについて解説します
今回の記事は、
「物語の才能【応用編】ストーリーをもっと面白くする方法」から抜粋しています
この技法書は感動ストーリーだけでなく
面白いストーリーを描くためのコツがさまざま書かれています
たとえば魅力的なキャラは傑出性(優れたものがある)のあるキャラだと本書では解説してます
が、ただそういう設定があるだけではダメで
傑出性を見せる具体的なエピソードが必要
また、逆に未熟で問題のある面も兼ね備えてないと
魅力的なキャラにならないと解説されてます
なぜこれらが必要か
また、ほかのストーリー解説も気になるという方は、
ぜひamazonで検索してチェックしてみてください
kindle unlimitedに登録すると無料で見れます
【STEP0】人はなぜ泣くか?
人が泣くのは、危険を知らせるためです
赤ちゃんが空腹を訴えるとき
小さい子が転んだ時など
泣くことで母親に伝えます
また、泣く際に気持ちが高ぶりますが
涙を流すことで気持ちを抑えられてストレス緩和されます
つまり、泣ける物語を描くには
「危険を察知させるような展開→涙を流させてストレス緩和」の一連が大切です
この「危険を察知」させる展開として「絶望」があげられます

鳴き声で危険を知らせているんだね
【STEP1】感動ストーリーを描くための要素1「絶望」

絶望はまず未確定に
絶望のわかりやすい例は、
さきほど書いたように、母との別れ、仲間の死別などです
ヒロインが難病を抱えていて死ぬかもしれない、といったお話は多いでしょう
ただ、死ぬことが確定されてしまうと、
あきらめがついてストーリーが動かなくなってしまいます
死ぬ「かもしれない」という未確定することで、キャラの葛藤が生まれます
最後には残酷な現実を
ストーリー展開で「絶望」は未確定で進みますが、
クライマックスでは確定させます
難病のヒロインは”死”を迎えるわけです
なぜ「絶望」を確定させるのが泣けるストーリーなのか?
人というのは、仕事がうまくいかなかったり、
だまされたり、努力が報われなかったり
みんな救われなさを抱えています
そして、それは普段は胸の中に抑え込まれていて、
見ないようにごまかしてして生きています
この普段隠されている「絶望」を描きだすことで、
危険を実感させるのです

人はいろんな辛いことを抱えて生きているからね
胸の奥に秘めた絶望を解放
「物語の才能【応用編】ストーリーをもっと面白くする方法」では、
この「絶望」を描かれた作品の例として、映画「氷点」をあげています
幼い娘が何者かに殺されてしまい、
その悲しみを打ち払うように養女を迎えて溺愛する母親
が、実はその養女は娘を殺した犯人の子供であることが判明
幼い時にもらわれて来たこの養女は、そのことを何も知らない
また、自分が養女であることも聞かされていない
犯人の子と知った母親は悩み苦しみ、養女に嫌がらせするようになる
この物語が刺さるのは、やはり子を持つ母親です
子供というのは親の言うことを聞かず、
気遣いなど持ってくれないことが多いでしょう
子供に腹を立て、悩む経験をしているでしょう
母と娘は分かり合えません
これはどうにもならない現実で、普段は胸の中に抑え込まれています
「絶望」のお話を描くことで、観客・読者の胸の奥の絶望を刺激し、
吐き出させます
ただもう一つ覚えておいてほしいのは、
「絶望」は”キャラを可愛そうな目に合わせて同情させる“という単純なものではない
ってことも、頭に入れておきましょう

同情で感動させているわけではないんだ
【STEP2】感動ストーリーを描くための要素2「光」

「光」の必要性
大人になってくると人は「絶望」に耐えられるようになり、
泣かなくなります
小さい頃はイジメを受けて泣いていたのが
大人になってくると泣かなくなります
大人は泣きたい気持ちを抑え込めるようになっています
が、そこに救いの手が差し伸べられると泣けてきます
これが「光」
たとえば、ケガで再起が不可能と言われていたスポーツ選手が
リハビリの末、金メダルを取った
辛いリハビリ時点はいわゆる「絶望」で泣きません
が、金メダルを獲得し気が緩んで、ヒーローインタビューの際に嬉し涙を流します
リハビリ時の辛さや復帰できるかどうかの不安
たまりにたまった「絶望」が、救われたことであふれ出たのです
ゆえに、物語には「絶望」の末に「光」が必要です

辛さの先の救いが感動を生み出すんだ
影から光=切なさ
物事には、光と影の2面性があります
おいしい食物を食べるのは幸せです(光)
が、その裏で命が犠牲になっています(影)
この2面性に、人は「切なさ」を感じます
「絶望」から「光」を描くことで「切なさ」を感じ、人は泣きます
光と影を描く際のポイントは、
片方をギリギリまで隠すことです
例をあげると、
男子aが彼女bにプレゼントを買うため、女子cに相談する
だが買い物してるさまをbが目撃して、二人が付き合ってると誤解
cがbに事情説明してなんとか誤解は解ける
が、しかし、実はcはaに対して恋心を持ち続けていた
この隠されたcの思いが「切なさ」
もし、初めからcの恋心が読者に知らされていたら、
この切なさは出ません
光と影のもう片方は、クライマックスまで秘める必要があります

光と影のどちらか隠すことが重要
感動は「絶望」の中で「光」を出すパターンで
たとえば「オズの魔法使い」は
仲間たちの力を借りて、元の世界へ帰れるようになるお話です
ただ、帰れるということは仲間との別れを意味します
つまり「光」の瞬間に「絶望」を出すパターン
これも切なさが出ていますが、感動させたいのであれば
「絶望」の中で、隠れていた「光」を出すパターンがいいでしょう
この「光」どういったものを描くかというと
「絶望に対して人が持っている儚い想い」
人は絶望に対して抗います
抗う意志をしっかり描きましょう
バトルもののラスボス戦で、
次々仲間が死んでいき絶望の淵に立ちます
諦めかけたそのとき、最後に残った一番弱い仲間がボスの弱点を命がけでつかみ、
死ぬ間際にそれを伝えます
万能なキャラが伝えるとあたりまえなので
弱いキャラ死の間際に伝えることで、光が強く出ます
主人公の、医大に進学したいという気持ちをずっと隠させます
自身がないし、みんなにバカにされそうだし
ヒロインにさえ言わずにいさせます
が、ヒロインの最期のときが迫っていく中で
この思いが沸き上がってきます
限界を超えようとするギリギリまで光を隠し
今までの自分を打ち破る結末を描くのが、泣かせるポイントです

絶望に抗うのが人の心理なんだなぁ
読者の「願望」を描く
先ほどの「氷点」の続きですが
母親は養女に親が自分の娘を殺したことを言ってしまいます
養女は「私死にます」と書き置きし、家を出ます
書き置きをみつけた母親は養女を探しに出ます
事実を伝えた結果養女が死にましただと、ただただ「絶望」です
子供とわかりあえないという現実にいる観客たちは
「絶望」にいる主人公の母親に感情移入します
そして人は、絶望に対して抗う気持ちがあります
なので「養女を愛してあげてほしい」という願望を抱きます
養女を探す母親の姿に、観客は「絶望」の中の「光」を見出します
泣かせるコツは、感情移入させたものをクライマックスでしっかり光らせることです
ほかの例として「さよならレザン」というドキュメンタリーの話があります
盲目の男性が盲導犬レザンと暮らす
がレザンは高齢ゆえに脚も弱っており、引退しないといけない
男性はほかの盲導犬を飼うため、レザンと別れないといけない
男性は新しい住処へレザンを連れていく
住処に預けて「ステイ(その場にじっとしろ)」と命じる
普段ならレザンは命令を聞くはず
だが、しばらくしてレザンは男性の後を追いかける
想いの強さで、初めて命令に逆らった
人間の都合で盲導犬にさせられた犬
けれど、目の不自由な人の生活ため綺麗ごとではすまない現実があります
こういった人の都合のある中
盲導犬が飼い主を愛してくれるというは、切なさがあり
観客の願望でもあります

キャラを感情移入させて輝かせよう
【STEP3】泣ける物語を描く際に間違いがちなこと

美談は避けよう
ただ、キャラが辛い目に合う姿を描いて
可愛そうな感じを出すだけだと”お涙頂戴”になるだけで感動されません
ということは「絶望」の解説のあとの「光」の解説で
それらしいことは書きましたね
間違った感動の描き方について、もう一つ
「絶望を跳ね返すほどの強い光にしてしまう」のはダメです
先ほどのレザンの例だと
「レザンが追いかけてきたため、飼うことにする」という結末だと
ハッピーエンドではあるけど、切なさがなくなって「お涙頂戴」になります
絶望が完全に緩んでしまうと、あざとくなってしまうのです
感動は、闇の中のかすなな光です
美談ゆえのハッピーエンドは避けましょう

ハッピーエンドにしたくなるけど、光は控えめに
主人公は泣いてはダメ
難病の恋愛ものは、ヒロインの死という絶望の中
主人公の恋愛感情という思いだけが虚しく光るという、切なさがあります
ただ、ここでやりがちな失敗が一つ
一見、ヒロインが死んで主人公が号泣すれば感動のように思えますが
主人公は泣かせてはいけません! 切なさを失います
それよりも、残酷な現実に戦いを挑む意志を強く出しましょう
泣かせてしまうと、絶望に打ち負かされた形になってしまい、
光が出てきません
泣かせないなら、ではどうするか?
ブザマな姿を描きましょう
「氷点」のクライマックスでも、
母親は気が動転しながら養女を探します
自分で追い出しておきながら、ブザマに慌てます
「火垂るの墓」なども
主人公を妹の死体を埋葬するため箱に入れ
フタを閉じる前に、最後の別れで顔をじっと見ます
その後フタを閉じます
が、すぐにフタを開けて、もう一度死んだ妹の顔を見ます
想いが強いゆえのブザマな姿です

主人公のブザマさが感動を生み出す
感動物語のクライマックスは「絶望」と「光」が同時に出ます
「氷点」でも母親は養女の書き置きにより
必死に探しに出ます(光)
しかし、これは自分の本当の娘はもう戻ってこないという現実(絶望)と、
向き合う瞬間でもあります
まとめ:泣けるストーリーを描くコツについてのおさらい
今回は、「物語の才能【応用編】ストーリーをもっと面白くする方法」をもとに
感動を生み出すための2つの要素と、
間違えがちな感動の描き方について解説しました
まとめますと、
単純に、別れなど泣く展開とされているものを、ただ描けばいいというものでなく
ちゃんと必要な要素を知らないと感動ストーリーは描けません
この記事を参考に、シナリオを見直してみましょう
最後にもう一度「物語の才能【応用編】ストーリーをもっと面白くする方法」の紹介を
この本をもとに、要点をまとめて泣けるストーリーの描き方を解説してきました
だいぶ絞ってお伝えしているので、もっと詳しく感動の描き方について知りたい方は
ぜひチェックしてみてください
もちろん感動だけでなく、伏線の張り方、短編の描き方などなど
ストーリーの描き方を知るのにとても勉強になります
物語を描くのであれば、絶対見るべき技法書だと思われます