漫画の読みやすさ大幅アップ!説明セリフの例と改善の方法3種

説明セリフを改善して漫画の魅力度超アップ!

漫画は絵で見せると同時に、読み物であるがゆえに文字でセリフが書かれます

そのセリフが「なんだか単調だなぁ…」と思われたり

「読みづらいなぁ…」と思われてしまうと、読者は離れていく恐れがあります

セリフはストーリーの展開や、状況・事実、キャラクターの心情などを読者に伝える重要なもの

それがおざなりになってしまうと、読者にストレスを与え、読まれなくなってしまいます

そのストレスとなる避けるべきセリフに、「説明セリフ」があります

とかげねこ
とかげねこ

漫画に置いて説明的なのは、やっぱり避けたほうがいいかも

今回は、

  • 説明セリフとは何か
  • 説明セリフを直す方法
  • セリフの句読点と三点リーダーについて

といったことを書いていきます

【STEP1】「説明セリフ」って、どんなセリフ?

セリフが単調になる「説明セリフ」ってどんなの?

「説明セリフ」は、

  • キャラクターがどう感じているか
  • なぜその行動をとるのか
  • 今どういった状況にあるのか

などといったことを説明で片づけるセリフです

「漫画」など「絵」で見せていく媒体において

文の説明で物語を展開させてしまうのは制作の意味合いがなくなってしまいます

また、説明する必要のないことをキャラクターに説明させるのは、なんとも不自然です

それに、説明臭いセリフは機械的で感情のない印象になるので、見ていて面白くないでしょう

冗長的にもなるので、ストーリー展開のテンポが悪くなって読みづらくもなります

といったことから、説明セリフは直していく必要があります

とかげねこ
とかげねこ

説明的なのは、不自然・機械的・テンポが悪くなってしまう……

【STEP2】説明セリフの改善する方法について

説明セリフはどうやって改善する?

セリフ以外で説明する

漫画は絵で表現していくものですから

やはり状況の説明は、絵で見せていくことを踏まえてするのがいいでしょう

ある有名漫画でも、吹雪にさらされる場面で

主人公にその吹雪がいかに寒いかをセリフのみで描いたシーンがあるそうです

が、それでは漫画の表現としてはイマイチ

体を震わせる、苦しそうに白い息を吐く、などといった絵を見せていくほうが演出として良いと言えます

ほかにも、これもかなり有名なバトル漫画なのですが

主人公が化け物に噛まれた際に、体内に電気が流れて気絶させられるシーンがあるのです

が、その電気が流れる様は一切絵に表されておらず、文章で説明しちゃってるんです

「絵で描けよ」って思うのですが、この漫画たびたび文章説明が挿入されます

また、これは漫画ではなくCMの成功した例なのですが

「うまいんだな、これがっ」という有名なキャッチコピーがあります

これはすごい話題となり、長いことこのキャッチコピーのビールCMは放送されました

これが「これが、うまいんだな」という逆のセリフだったとしたら

なんだか説明的になってしまい、さほど話題にならなかったでしょう

このように文章の並べ方1つで、同じ意味のセリフでも印象がかなり変わってきます

説明セリフの例と改善(遅い時間になったので、お風呂に入りに行く場面)

登場人物が時計のある方を向いて「もう、こんな時間か。お風呂に入ろう」←説明的

時間を見てお風呂に入ることを告げる

*改善

登場人物が時計の方を振り返るコマ

時計のアップと「あっ、もう8時」という心の声のセリフ

着替えを持って部屋のドアの方へ向かう「お風呂、お風呂」

8時なのでお風呂に入る
とかげねこ
とかげねこ

やっぱり、漫画は絵の世界

説明しても不自然にならないようにする

たとえば、イケメンで家がお金持ちのため、女子生徒に人気の男子生徒がいるとします

しかしクラスメイトならその情報は誰しも知っているので

それを読者に伝えたいからと、その生徒を目撃した女子生徒が「イケメンで、お金持ちのxx君よ!」

なんて話すのはちょっと不自然です

イケメンでお金持ちの〇〇君

が、これがもし他の女子校の生徒が噂しているという形なら、まだ自然と言えます

このように「他者を使う」方法は、説明する際によく用いられます

他校の生徒がイケメンでお金持ちの生徒を噂する

また、スパイものを描いたとして

侵入する基地の兵士らが居酒屋で

「基地にはこんな罠が仕掛けてあるんだよな」なんて話しているのを

スパイが隣の席で聞き耳を立てている……

なんて展開だとあまりに不自然ですよね(昔のRPGゲームとかなら、そういうのありそう)

でもスパイが敵の兵士に銃を突き付けたり

自白剤を飲ませて自白させるなどの展開なら、自然と言えます

とかげねこ
とかげねこ

なるべく自然なストーリー展開を

不必要なセリフは削る

描いたセリフを実際口に出して読んでみて、つっかえて読みづらいとなるようなら

冗長的で読みづらいセリフになっているかもしれません

セリフを見直してみて、無駄と思えるものは削っていったほうがいいでしょう

そのために、セリフに優先順位を決めてみましょう

それと、そのキャラクターがどういう心境でいるのかを想像し、それが伝わるようなセリフを考えましょう

不必要なセリフの例と改善(初出勤で混雑した電車に辟易する新入サラリーマンの心の声)

「(7時頃の電車ってこんなに人で込み合ってるのかよぉ……)」←説明的

7時ころに人で込み合う電車

*改善↓(「通勤が辛い」ということが優先されるので)

「(通勤ラッシュ、キツい……)」

とかげねこ
とかげねこ

セリフが長くなるのは、できるだけ避けたいところ

また削るほかにも長いセリフの改善法として

1つのコマにセリフを詰め込まず複数に分けたりなどして、読みやすくする工夫をしましょう

マルリン
マルリン

コマがをセリフで埋めてしまうのは、たしかに窮屈感があって、読む気を失わせてしまうかも

説明セリフは絶対避けるべきこと?

さきほど紹介した、ある有名漫画の吹雪のシーンですが

小さい子供も見ているため「説明セリフがあったほうがわかりやすい」ともされているようです

それに「ストーリー上どうしても説明を入れないと読者に伝わらない」という内容の漫画もあります

読者がストーリーについていけなくなるくらいなら、機械的で不自然なセリフでも、入れた方がいいでしょう

【STEP3】ストーリー漫画は”起”から始めてはダメ!

"起"の前のイントロ部分に工夫を

イントロ部分の工夫について

ストーリー展開の基準として「起承転結」というものがよく知られているため

“起”で始めている人は多いかと思います

が、それではいけません!

漫画はその作者のオリジナルの世界であるため

それがどういった世界なのか伝える必要があります

その世界観を伝える部分が”起”になるわけで

「じゃあ、やっぱりそこから始めないとダメじゃん」と思うかもしれません

が”起”は世界観の説明部分であるがゆえに、何の事件も起こりません

いうなれば、退屈な部分と言えます

その退屈な部分も読者に読み進めてもらうためにも

“起”に入る前のイントロ部分に、読者を引き込む展開が必要となります

「マンガのマンガ」の著者かとうひろし先生の作品「サイファー」でも

冒頭からおどろおどろしい世界に主人公が迷い込み

巨大な化け物(の手)に襲われるという夢オチから始まります

そういった展開から入ることで、まず読者を引き込みます

(イメージ的には、こんな感じ↓実際の「サイファー」の冒頭はもっと描きこまれているよ)

とかげねこ
とかげねこ

冒頭から読者を引き込めるかが重要

また、このイントロ部分は

あらかじめ読者に「この漫画はこういう漫画ですよ」と伝える部分でもあります

なので、いくら引き込むためとはいえ、漫画の世界観にてんでそぐわないような展開はNGです

こういったイントロ部分についてのほか、読者にいかに伝わる漫画を描くかについて

「マンガのマンガ コマ割りの基礎編」には詳しく書かれています

漫画描きにとって必須の技法書です! ぜひチェックを

漫画は文字に頼っちゃダメ!

僕はX(旧ツイッター)でいろんな人の漫画作品を見させていただいてます

すごい才能あふれる人たちがたくさんいる半面で

世界観を伝えようとするあまり、冒頭から文字だらけで読みづらい作品もまた多いです

フォントが小さいから、なおさら読みづらい(というか読めない)

PCでも読めないくらいですから、スマホならそれこそ読めないかと思います

これだと読者をうんざりさせ、読むのをやめてしまう恐れがあります

冒頭の説明がくどい

漫画は絵で見せるもの

文字に頼ったらダメです!

文字での説明はやはり極力さけて、絵や文字以外で世界観を説明していきましょう

絵でキノコの世界を再現

それと、吹き出しの回でも説明したとおり

web漫画のフォントサイズは最低でも11pt(16Q)以上にしましょう

【STEP4】セリフに句読点(、。)と三点リーダー(…)を入れるパターン4種

セリフに"、"と"。"そして"…"はどう入れる?

インディーズで漫画制作している場合

セリフに”、”や”。”や”…”を入れるのに悩むこともあるかもしれません

ってことで、これらの入れ方のパターン4種をご紹介します

1:正当な文法パターン

正当な文法パターン

“、”だけでなく”。”も使い、”…”は偶数で使用するパターンです

文章として正しいものとされており、物書きが使用する文法表現です

2:句点省略パターン

句点省略パターン

セリフは鍵かっこ(「」)の役割があるため、”。”は省略するパターンです

“…”は、そのときのセリフの間によって単数だったり、偶数だったりします

僕がよく使うパターンです

3:句読点省略パターン

句読点省略パターン

“。”だけでなく”、”も書かないパターンです

単語ごとに改行するか、本来”、”の入る部分を全角スペースで空けたりします

“…”は、やはりそのときのセリフにより数を変えます

4:二点リーダーパターン

二点リーダーパターン

句点省略パターンに近いのですが

リーダーが三点ではなく二点で使われ、単数だったり偶数だったりするパターンです

まとめ:「これで読みやすさバツグン!」説明セリフの避け方解説のおさらい

絵で見せていくとはいえ、漫画にはストーリーがあるゆえに、セリフはとても重要です

今回は、そのセリフを読みづらくする要因となる「説明セリフ」について解説しました

まとめますと、

説明的なセリフは単調で機械的になる上、冗長的になってしまうことも多いので

読者がキャラに感情移入できず離れてしまう恐れもあります

改善法を学ぶのは、とても重要と言えるでしょう

とかげねこ
とかげねこ

書いたシナリオは、見直していくことを心がけよう