漫画の演出にはこれ!描き文字5つの表現と配置の仕方、特殊な描画法も

描き文字をマスターして漫画の魅力を上げよう

描き文字は文字であると同時に、絵でもあります

そこがフォントを使って書く”台詞”とは大きな違いです

たとえば、猫の柔らかいほっぺを指先でつつく絵を描いたとします

その際に「ふにっ」などの描き文字も付け足すのですが

この「ふにっ」という字を柔らかさが感じられるような絵で描くことで

ほっぺをつつくその柔らかさが、より読者に伝えることができます

このように、描き文字を工夫することで

漫画の表現力が高まり、より魅力的な作品に仕上げることができます

とかげねこ
とかげねこ

漫画において描き文字は、とっても重要

ということで、このページは、

  • 描き文字の種類について
  • 音の大きさの描き分け
  • 物の硬さと音
  • 白文字と黒文字について
  • ひらがなとカタカナの違い
  • 音の遠近
  • 描き文字のNGな使い方
  • 描き文字のレイアウトについて
  • 描き文字のいろんな描き方

といった内容となります

ちなみに今回は、「漫画のプロが全力で教える 「描き文字」の基本」を参考にしております

【STEP0】描き文字にはどんな種類がある?

実際の物音(擬音)

たとえばドアをノックすると「コンコン」と音がなりますし

古い木造の家の階段を上りますと「ギシギシ」鳴ったりします

こういった実際に鳴る音(擬音)を描き文字にすることで

臨場感を高めることができます

状態や見かけを文字化(擬態語)

誰にも見つからないようにそっと歩く際の「コソコソ」という音

静まり返っている際の「シーン」という音などです

また、これに近いのが、キャラがご機嫌に出る音符「♪」もあります

擬態語は、キャラがどういう心情でいるか

また舞台となっている場所がどんな雰囲気であるかを読者に伝えます

とかげねこ
とかげねこ

擬音・擬態語をまとめて「オノマトペ」というよ

【STEP1】音の大きさによる描き文字の大小

描き文字であらわす音

大きな音

これは言うまでもないことではありますが

大きな音を表す場合は、もちろん描き文字を大きく描く方が伝わるでしょう

画面に対して、出来る限り大きく描くのがいいです

大きい描き文字

ちなみに、この画像で使われている集中線は

「定規ツール」の「特殊定規」を選んで

特殊定規を”放射線”にし

定規ツールの特殊定規を選んで、放射線を選ぶ

線引き用のレイヤーを新規作成してから

線を集中させたいところをクリック

その後、ペンなどで線を引くと、クリックした方に集中線を引けます

集中線を入れたいところをクリック

小さな音

これも言うまでもなく、小さい音は描き文字も小さく描きます

文字の線も細くすることで、それだけ音が小さいことがわかります

割れるシャボン玉の音

細い文字の印象は「小さい、弱い、存在感がなく、さりげない、高音、鋭い」です

また、文字をギザギザの形に描くと「耳障り」な感じを出せます

太い文字の印象は

「大きい、強い、低音、おおげさ、存在感がある、どっしりとしている、ボリューム感があるまろやか、まるみがある」といった感じです

近づいてくる音

遠くから何かが近づいてくる際

その物音も近づくにつれてだんだん大きく描くことで

それが近づいてくる臨場感が出ます

遠くから走ってきて近づいてくる足音
とかげねこ
とかげねこ

このあたりは、ごく基本だね

物の重さや硬さによる描き文字の違い

転がる物

ボーリングの玉などは、とても重く硬いです

重く硬い物が転がるとなると

その硬さが現れるような描き文字を描く必要があります

やはり「ゴロゴロ」といった濁音で描くのがいいでしょう

また、文字の形も角ばった感じのほうが硬さと重さが伝わります

丸っこく描いてしまうと、柔らかい感じになってしまうでしょう

転がるボーリングの音

角張った文字の印象は「力強く、どっしりしている、存在感がある」という感じです

丸い文字は「優しい、柔らかい、親しみがある、まろやか、おかしさ」といった感じです

ボーリングより小さく柔らかいボールなら

濁音をつけず「コロコロ」という感じでしょう

文字の形も丸っこく、また、大きさもボーリングのときより小さめに

転がるゴムボールの音

重さと硬さ両面を考慮したうえで、描き文字が変わってくるかと思います

たとえば、ビー玉は硬いですが小さいので「コロコロ」で

文字の形は角ばった感じで

大きなボールでも、素材が柔らかければやはり「コロコロ」で

文字の形も丸っこく

とかげねこ
とかげねこ

物の質感によって、描き文字も変わってくるんだ

柔らかい物・硬い物・金属音

柔らか素材の物をつついてみると「ぷに」とした感触でしょう

その感触を伝える際の描き文字は、さきほどの小さなボールでも言ったように

丸っこい文字がいいでしょう

また、カタカナよりもひらがなのほうが、柔らかさが伝わります

角ばって書かれるカタカナは、硬いイメージ

丸っこく描かれるひらがなは、柔らかいイメージとなります

柔らかいボールの感触の描き文字

なので、さきほどの小さなボールが転がる描き文字は

ひらがなで「ころころ」とすることで、ゴムボールのような、より柔らかい感じになります

カタカナで「コロコロ」の場合は、野球ボールやテニスボールなど少し硬い感じとなります

下の画像のボールは、絵自体はさきほどの柔らかボールと同じ物ですが

トンカチで叩いて「ガン! ガン!」音をさせることで、硬い球に変貌してることがわかります

さきほどボーリングのときにも解説したように

角ばった文字で描くことで硬さが伝わります

それに、カタカナのほうが硬い感じが出るでしょう

堅い球をトンカチで叩く描き文字

剣のような鋭い刃物と金属がぶつかる場合

「キンキン」というような金属音が出ます

金属音は、細くとがった文字で描くのがいいです

剣と剣のぶつかり合う音など、こういった感じに描くのがいいでしょう

堅い球を剣で叩く描き文字

とがった文字の印象は「鋭い、耳障り、きつい」といった感じです

とかげねこ
とかげねこ

金属音は、また文字の描き方が変わってくるなぁ

白文字と黒文字の使い分け方

描き文字における白文字と黒文字の違いは?

金属音の白文字・黒文字

さきほど剣で硬い球を叩く音は、白文字で鋭く描きました

白文字は中が白(空洞のイメージ)ゆえに、黒文字よりも軽い印象です

また、高音で、刃の鋭い印象でもあります

なので、剣と剣のぶつかり合いを描く際

その鋭さを印象付けたい場合は、白の描き文字で描きましょう

鋭さを因襲づけた、剣と剣のぶつかり合い

迫力や、激しい打撃力感を出したい場合は、黒文字で描くのがいいでしょう

迫力や、激しい打撃力感を出した、剣と剣のぶつかり合い

物の重さの白文字・黒文字

中が白で空洞感のある白文字に対し

黒文字の印象は「重い、強い、圧がある」という感じです

白文字は「軽い、澄んでいる、鋭い、突き抜けている」といった感じです

物が落ちた際に、より重たさを伝えたい場合は

黒文字がいいでしょう

堅い球が落ちる黒の描き文字

少し軽い感じを出したいのであれば、白文字にしましょう

堅い球が落ちる白の描き文字
とかげねこ
とかげねこ

白文字か黒文字かでも、印象が違ってくるんだね

【STEP4】描き文字における”ひらがな”と”カタカナ”の違いとは?

ひらがなとカタカナで何が違う?

さきほど少し解説しましたが

ひらがなは、丸く柔らかい印象があり、ほか、コミカルな感じもあります

カタカナは、硬く、強い、鋭い、シリアスな印象です

人の心情を表すにも、ひらがな・カタカナで違いが出てきます

ひらがなで「どきっ」と胸が高鳴る場合

ときめいている感じが出てきます

胸が高鳴るひらがなの描き文字

丸文字で描くと、より、ときめいている感じです

胸が高鳴る丸文字で描かれたひらがなの描き文字

一方、カタカナで「ドキッ」の場合は

ときめきよりも、緊張感が出てきます

バレるとまずいことがバレそうになっている状況だったりするかもしれません

胸が高鳴るカタカナの描き文字

角ばらせて、大きく描くと、緊張感が大きくなります

胸が高鳴る角ばったカタカナの描き文字

もし、キャラが告白を前にしている場面を描く場合に

ときめきを表したい場合は、胸の高鳴りを「どきっ どきっ」

キャラの緊張感を伝えたい場合は「ドキッ ドキッ」となります

とかげねこ
とかげねこ

この違いを、覚えておこう

【STEP5】描き文字の遠近の描き分け

遠い音と近い音の文字の書き分け

音が遠い場合、もちろんそれだけ音も小さくなります

なので、描き文字も小さくなります

遠くのセミの声は小さく、ほそい字で描くことで音の小ささをあらわす

音が近いと、それだけ音が大きくなり

描き文字も大きくなりますし

近くに音が鳴っていることがわかります

近くのセミの声は大きく、太めに
とかげねこ
とかげねこ

これも、ごく基本的だね

【番外STEP1】「これはしてはいけない」描き文字のNG例

描き文字のダメな例

描き文字は、絵の印象と合わせて描かないといけません

文字が絵の印象と合っていないと

読者にイメージが伝わらなくなってしまいます

音が合わない転がるボーリング
描き文字がボールの柔らかさに合っていない
とかげねこ
とかげねこ

ちゃんとイメージに合わせて描こう

【番外STEP2】描き文字のレイアウト法

描き文字の基本的なレイアウト法

フチを入れて見やすく

下の画像は、広い水面の向こうでかすかに水音が鳴ったものですが

小さな黒文字がトーンとかぶって、見づらいです

海の向こうで魚が跳ねる描き文字が見づらい

なので、文字にフチをつけて見やすくします

文字の書かれたレイヤーを選んで

レイヤープロパティから「境界効果」を選びましょう

選んだら、フチの太さを変えられるので

見やすい太さに変えましょう

レイヤープロパティの「境界効果」を選んで、描き文字にフチを入れる
とかげねこ
とかげねこ

見やすくするため、これはよく覚えておいて

描き文字は音のするところの近くに

基本的には、描き文字を書く場所は

音の鳴るところの近くに書くのがいいでしょう

描き文字は音のするところの近くに

さきほどのセミの鳴き声も、セミのいる木の近くに書いています

とかげねこ
とかげねこ

描き文字レイアウトの基本は、やっぱりこれ

描き文字を描く方向について

音のしている物が動いている場合

動いている方向に文字を描くと

描き文字の効果が高まります

物の動きや方向にそって描き文字を描く
とかげねこ
とかげねこ

妙な方向に描かないよう、ちゃんと動きに沿って

画面上に散らす

より音が大きいこと・やかましさを表現する場合

描き文字を画面上に散りばめます

画面に文字のしめる範囲が大きくなって

音の印象が強くなります

描き文字を散らす
とかげねこ
とかげねこ

これはインパクトあるなぁ!

描き文字の配置と長さによる表現の違い

(この解説は「マンガのマンガ 初心者のためのマンガの描き方ガイド 伝わるマンガの描き方編 」より)

例えば、走るときの”ダッ”という描き文字でも


配置の仕方や、文字の長さによって表現が変わってきます

二人が同時に走る場合

走っている2人の間に描き文字を配置することで、


同時に走り出したことを表現

走る二人の中間に描き文字

追い抜く瞬間の表現

どちらかのキャラの近くに描き文字を置くことで、


相手のキャラを追い抜く瞬間を表現

左のキャラが追い抜いている
右のキャラが追い抜いている

走り出す瞬間の表現

一般的に”ガッ”、”ビュン”などの短い描き文字は、


瞬間的な様子の表現となります

“ダッ”と短くすることで、


2人が走り出す瞬間を表現

走り出した瞬間

走り出した後の表現

“ダダッ”の2文字にすることで、


2人が走り出した後の様子を表現

走り出した後の様子

走っている最中の表現

“ビュウゥーン”、”ガガガガガ”などの長い描き文字は、


行動を持続している表現になります

“ダダダッ”の3文字にすることで、


2人が今走っていることを表現

走っている様子

というわけで、描き文字のレイアウトに関して

ごく基本的なものを紹介しました

「漫画のプロが全力で教える 「描き文字」の基本」には

レイアウトの応用編があり

より表現の幅が広がって漫画が魅力的になるかと思います

ぜひチェックしてみてください!!

とかげねこ
とかげねこ

すごい勉強になるよ

ぜひ、チェックを

【番外STEP3】描き文字の描画法をいくつか紹介

描き文字の描画法いろいろご紹介

勢い線を足す

戦闘やカーアクションなど、アクションシーンの激しさを表現する際

勢い線を足していくことで、より激しい感じを出せます

下の画像は、矢が飛んでくるスピード感を出しています

勢い線を入れて矢が飛ぶ勢いを表現する描き文字
とかげねこ
とかげねこ

スピード感が出せるよ!

グラデーショントーンを加える

文字にグラデーションを入れることで

動きや強弱をつけることができます

クリスタでトーンにグラデーションをつける方法は

グラデーションツールを選択して「マンガ用グラデーション」を選び

グラデーションツールのマンガ用グラデーションをえらぶ

グラデーションを入れたい文字を自動選択ツールで選択して

グラデーションさせる方向にドラッグします

ドラッグして描き文字にグラデーションを入れる

その後、グラデーションを入れたレイヤーの

レイヤープロパティから「トーン」を選択すると

レイヤープロパティからトーンを選ぶ

グラデーションがトーンに変わります

さきほどの矢が飛んでいく画像の描き文字を

矢が飛んできた方を薄く、矢が向かう方を濃くすることで

矢の軌道を強調しております

トーンを入れたグラデーションの描き文字
とかげねこ
とかげねこ

表現力の向上のため、これもよく覚えておこう

筆書き+スパッタリング

刃物で人を切る擬音を描く際

その鋭さや、流血感を出すため

墨筆で描いて、スパッタリング(しぶき)をかけてみました

描き文字のところどころに飛び散るスパッタリングが

流血を彷彿とさせます

刃物で切るような描き文字

墨筆は、検索して無料ダウンロードしたものを使っています

無料ダウンロードの墨筆

スパッタリング用のブラシも、無料ダウンロードしてきました

無料ダウンロードしたスパッタリングブラシ

このように、クリスタはいろんなブラシが無料ダウンロードでき

描画の幅を広げて、漫画の質を上げることができます

とかげねこ
とかげねこ

中には、塗るだけで木やビルが描けちゃう便利ブラシもあるから、
「クリスタ 便利 ブラシ」などで検索して調べてみてね

流線+スパッタリング

勢い線のほかにも

黒文字に白の流線を描いていき、さらにスパッタリングを入れることでも

アクションシーンの激しさを表現することができます

車のエンジン音に、白線としぶきを入れることで

ドライブの激しさを表してみました

激しいカーレースを思わせる描き文字
とかげねこ
とかげねこ

スパッタリングは、描き文字以外の演出にも便利だよ♪

輪郭にグラデーショントーン

グラデーショントーンは、動きや激しさを表現する以外にも

ほんわかした感じを出すことにも使えます

白い丸文字の輪郭にグラデーショントーンを入れて

あったかい感じを出してみました

ほんわかした描き文字

この場合のグラデーショントーンの入れ方は

トーンを入れるレイヤーの「表現色」をグレーにして

「効果」を「トーン」に変えてエアブラシで入れていくものです

下のリンクのページで、画像付きでやり方を解説してます

とかげねこ
とかげねこ

ただ、web配信の場合、モアレ防止のためトーン効果は無効にしたほうがいいけどね

集中線

グラデーションのほかにも

文字に集中線を入れることで、動きの激しさや方向性を強調できます

集中線を入れた描き文字
とかげねこ
とかげねこ

これも迫力ある描き文字だよね

何かがつぶれた音

文字をちょっとグニャとした感じに描いた上で

さらに砂目を思わせるスパッタリングをグラデーションで入れることで

「グシャッ」という音のつぶれた感じを、より表現してみました

何かがつぶれた音の描き文字

これらの描き文字も

漫画のプロが全力で教える 「描き文字」の基本」をもとに描画したもので

このページで紹介したのは、ごく一部です

「「描き文字」の基本」には、おそらく300種以上ものの描き文字の見本が掲載されており

それがどういった意図で描かれたかも解説されています

描き文字のマニュアルはあまりなく

表現の幅を広げるのに最適なマニュアルかと思われます

興味があれば、ぜひチェックしてみてください

とかげねこ
とかげねこ

描き文字のマニュアルは本当になかなかないから、チェックしてみてね

まとめ:描き文字の基本といろんな描画法のおさらい

今回は、描き文字の基本的や、描画法をいくつか紹介しました

まとめますと、

描き文字の描画法を覚えることで、そのシーンそのシーンのイメージが読者に伝わりやすくなります

たとえば大岩を金づちで割ろうとしたら、硬くて割れないということを伝えるのに

文字を角ばらせた上で、さらに硬さを彷彿とさせる描き文字を描くことで

その硬さが読者に印象付きます

漫画の表現力を広げるためにも、ぜひ覚えましょう

ちなみに、描き文字の印象をざっとまとめますと

  • 細い字は「小さい、弱い、存在感がなく、さりげない、高音、鋭い、(文字をギザギザの形に描くことで)耳障り」
  • 太い字は「大きい、強い、低音、おおげさ、存在感がある、どっしりとしている、ボリューム感がある、まろやか、まるみがある」
  • 角張った字は「力強く、どっしりしている、存在感がある」
  • 丸い字は「優しい、柔らかい、親しみがある、まろやか、おかしさ」
  • とがった字は「鋭い、耳障り、きつい」
  • 黒字は「重い、強い、圧がある」
  • 白字は「軽い、澄んでいる、鋭い、突き抜けている」
  • ひらがなは「丸い、柔らかい、コミカル」
  • カタカナは「硬い、強い、鋭い、シリアス」

となります

とかげねこ
とかげねこ

描き文字をマスターして、漫画の表現力をアップしよう!